トピックス

  • 2022年04月08日健康栄養

    普段の生活に糖質・炭水化物制限食を取り入れる5つのポイント

    2018年11月12日

    ポイント

    執筆者:天野方一(医師)

    先週のコラム【糖質制限・炭水化物制限は体にいいの?悪いの?】では、糖質制限・炭水化物制限食と体重、生活習慣病との関連性についてご紹介しました。

     

    今回のコラムでは、

    なぜ、糖質・炭水化物制限をすると減量などにつながるのか?

    普段の生活に糖質制限を取り入れる5つのポイント

    についてご紹介いたします。

     

    血糖値の急上昇に注意!:GI値

    そもそも糖質や炭水化物を制限すると、なぜ減量や生活習慣病のリスク低減につながるのでしょうか?

     

    その理由の1つに、糖質を制限することで「糖質を摂取することで起こる、血糖値の急上昇に伴うインスリンの過剰な分泌」を抑えることができるといった点が挙げられます。

     

    インスリンが多く分泌されると、エネルギーを体内に溜め込んだり、生活習慣病のリスクが上がったりします。そのため【血糖値の急上昇を防ぐこと】が生活習慣病のリスクを抑えるために重要と考えられます。

     

    血糖値の急激な上昇を防ぐために

    そこでGI値(グリセミック指数:Glycemic Index)を紹介します。GI値とは、食品ごとの血糖値の上昇しやすさの指標です。糖質50gを含有する食品を摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表したものです。

     

    GI値の高い食物を多く食べると、血中の急激な血糖上昇につながり、①2型糖尿病、②心疾患、③肥満、④大腸癌の発症のリスクとなると考えられています7-10。また、GI値の低い食物を多く摂取することにより、様々な疾患のリスクとなる慢性炎症を抑えることができることが分かっています11。したがって、低糖質・低炭水化物食を食べる際、単に量だけではなく質、つまりGI値の低いものを選ぶことが有効だといえます。

     

    【食品のGI値】

    低~中GI食品

    ●果物・野菜

    ●豆類(インゲン豆、黒豆、レンズ豆など)

    ●ナッツ類(カシューナッツ、ピーナッツなど)

    ●精白されていない穀物製品(玄米、全粒紛パン、全粒粉パスタなど)

     

    高GIの食品

    ●調理されたジャガイモ(フライドポテトなど)

    ●清涼飲料水(缶ジュースやペットボトルのジュースなど)

    ●栄養補助食品(栄養バーなど)

    ●精白された穀物製品(白米、白いパンやパスタなど)

     

    一般に、ブドウ糖(グルコース)を多く含む食品ほど血糖値が急上昇しやすく、GI値が高い傾向にあります。ちなみに、水分を一緒に摂取すると、小腸への移動が速くなるため、血糖値が上昇しやすくなります。逆に、たんぱく質や脂質、食物繊維も多く含む食品であれば、血糖値の上昇が緩やで下降しにくく、いわゆる腹持ちの良い状態になります。

     

    上の低~中GI食品と高GIの食品の例を参考に、普段の生活の中で食べるものを選択してください。

     

    普段の生活に糖質・炭水化物制限食を取り入れる5つのポイント?

    ここまで、各種の研究報告やGI値という指標を紹介してきましたが、実際に低糖質・低炭水化物食の効果を取り入れたいとき、日常的にどのようなことを意識すればいいのでしょうか。まずは、以下の5つを実践してみて下さい。

     

    1.極端に糖質を制限するのではなく、毎日可能な範囲で少しずつ減らしていく。

     

    2.糖質・炭水化物制限の代わりに、野菜・果物や植物性のたんぱく質(豆類)を意識的に摂取する。

     

    3.主食を全粒穀物製品に変える。例、白米⇒玄米、白いパン⇒全粒粉パンなど

     

    4.ジャガイモを減らして、豆製品を増やす。例、ジャガイモの入ったカレー⇒豆カレー

     

    5.フルーツジュースではなく、フルーツそのものを食べる。

     

    執筆者:天野方一

    方一先生

    2010年に埼玉医科大学卒業後、都内の大学付属病院で初期研修を終了し、腎臓病学や高血圧学の臨床や研究に従事し、抗加齢医学専門医や腎臓内科専門医等の資格を取得。

    予防医学やアンチエイジングの重要性を感じ、2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、食生活や生活習慣等など日常生活を改善することで、身体だけでなく心もハッピーに」をモットーに、予防医学やアンチエイジングに関する研究を行っている。

    2018年秋からハーバード大学公衆衛生大学院に留学し、最先端のアンチエイジング及び、?The relationship between health and happiness(健康と幸福の関係性)」?について研究予定。

    資格:抗加齢医学専門医、腎臓内科専門医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医

    公衆衛生修士号(Master of Public Health、MPH

    アンチエイジングに関する最新情報を発信中!

    http://activehealthlab.tokyo/

    参考文献

    1. Johnston BC, Kanters S, Bandayrel K, et al.Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults: a meta-analysis. JAMA. 2014 Sep 3;312(9);923-33.
    2. Shai I, Schwarzfuchs D, Henkin Y,et al. Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet. N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41.
    3. Halton TL, Willett WC, Liu S, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. N Engl J Med. 2006;355:1991-2002.
    4. Halton TL, Liu S, Manson JE, Hu FB. Low-carbohydrate-diet score and risk of type 2 diabetes in women. Am J Clin Nutr. 2008;87:339-46.
    5. Appel LJ, Sacks FM, Carey VJ, et al. Effects of protein, monounsaturated fat, and carbohydrate intake on blood pressure and serum lipids: results of the OmniHeart randomized trial. JAMA. 2005;294:2455-64.
    6. Sara B Seidelmann, Brian Claggett, Susan Cheng, Mir Henglin, Amil Shah, Lyn M Steffen, Aaron R Folsom, Eric B Rimm, Walter C Willett, Scott D Solomon. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. The Lancet. Public health. 2018 Sep;3(9);e419-e428.
    7. de Munter JS, Hu FB, Spiegelman D, Franz M, van Dam RM. Whole grain, bran, and germ intake and risk of type 2 diabetes: a prospective cohort study and systematic review. PLoS Med. 2007;4:e261.
    8. Beulens JW, de Bruijne LM, Stolk RP, et al. High dietary glycemic load and glycemic index increase risk of cardiovascular disease among middle-aged women: a population-based follow-up study. J Am Coll Cardiol. 2007;50:14-21.
    9. Anderson JW, Randles KM, Kendall CW, Jenkins DJ. Carbohydrate and fiber recommendations for individuals with diabetes: a quantitative assessment and meta-analysis of the evidence. J Am Coll Nutr. 2004;23:5-17.
    10. Higginbotham S, Zhang ZF, Lee IM, et al. Dietary glycemic load and risk of colorectal cancer in the Women’s Health Study. J Natl Cancer Inst. 2004;96:229-33.
    11. Buyken, AE, Goletzke, J, Joslowski, G, Felbick, A, Cheng, G, Herder, C, Brand-Miller, JC. Association between carbohydrate quality and inflammatory markers: systematic review of observational and interventional studies. The American Journal of Clinical Nutrition Am J Clin Nutr. 99(4): 2014;813-33.
ページの先頭へ