国際中医師試験を受験しました
2018年12月17日
執筆者:元井章智
先日(12月1~2日)国際中医師試験(国際中医薬専門技術資格認定試験)を受験しました。
国際中医師試験について
国際中医師試験(国際中医専門員水準試験)とは、世界中医薬学会連合会が主催する世界の中医薬従事者を対象にして行う国際試験です。国際中医師(国際中医専門員)は、中国以外の国で中医薬を学んだ人に与えられる能力認定資格です。
中医学は日本の漢方医学とは学術体系が大きく異なるため、国際中医師はその専門的知識を持っていることを証明する国際試験になります。
*東京薬科大学・長春中医薬大学 中国医学実践講座資料より抜粋
簡単にまとめると、中国の漢方医学=中医学と日本の漢方医学とは考え方や治療方法などが大きく異なります。今回、私が受験した「国際中医師」は中国の漢方医学=中医学の認定試験になります。
受験資格は、東京薬科大学で開催されている中国医学実践講座の初級、中級、上級を受講することで取得することができ、年に1回開催される試験に挑戦できます。そして、試験に合格すると「国際中医師(国際中医専門員)」の資格を得ることができます。
→リンク 東京薬科大学の中医学実践講座
受験したきっかけですが、私はもともと製薬会社にMR(医薬情報担当者)として勤めていたため、西洋医学に関する基礎的な勉強はしたことがありますが、中医学(漢方医学)に関しては全く勉強したことがありませんでした。
その後、2013~2015年にアメリカの統合医療学会をはじめとする国際学会に参加した際に、世界的にも漢方薬、鍼灸、気功などを含め中医学が注目を浴びていることを実感し、興味を持ち始めました。
ちょうどその頃、私が専攻生として所属している東京薬科大学で中医学実践講座が開催されていたので、2016年から中医学講座初級(2016年4~7月)を受験し、中級(2016年9~12月)、上級(2017年9~12月)を修了したことで今回の受験にいたりました。
試験内容について
受験科目は6科目あり、
初日に中医基礎理論、中医診断学、中薬学
2日目に方剤学、中医臨床学科、弁証論治
を受験し、各項目100点満点で60点以上取ると合格になります。
(試験は日本語です)
以下、簡単な試験項目の内容です。
●中医基礎理論
気、血、水(津液)や肝、心、脾、肺、腎といった中医学の基本的な概念などに対する科目。
例:髪の毛は「腎」に関係する、「肝」の不調は目に現れるなど
●中医診断学
中医学の診断の基礎になる四診「望診(外観、舌の状態など)、聞診(声の調子や便の臭いなど)、問診(症状など)、切診(脈を診る)」に関する項目。
舌の色と脈、症状などから、どのような証(病気のタイプ)かを判断します。
●中薬学
生薬の種類と特長に関する科目。
例:ハッカ(薄荷)は喉や目に良い
生姜は魚やカニによる食中毒に良いなど
●方剤学
生薬を合わせた方剤の種類と効果に関する科目。
例:麻黄湯は桂枝、杏仁、甘草で構成される。
麻黄湯は汗をかいていないタイプの風邪に良いなど
●中医臨床学科
患者さんの症状、証から処方する方剤などを選びます。
●弁証論治
4人の患者さんの例が出て、どのような疾患、証かと判断し、治療方針、処方する方剤を決定します。
試験を終えて
前回の上級講座が2017年12月に修了していたので、2018年6月に開催された試験対策講座では勉強内容をかなり忘れてしまっていました。その後、10月から本格的に試験勉強を始め2カ月間集中して勉強することで、バラバラだった知識が体系的にまとまってきたのを自分でも実感できました。
2カ月間は平日の夜中や土日に試験勉強を行っており、途中に学会発表(11月17日)もあったのでそれなりに大変でしたが、振り返ってみると学んだ知識をまとめ上げる良い機会になったと思います。
試験結果は約1か月後にわかりますが、自分なりにしっかりと点数は取れたと思いますので、1カ月間結果が送られてくるのをゆっくり待ちたいと思います。
今回学んだ中医学の知識は、今後の研究や新製品の開発に活かしていきたいと思います。
投稿者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー