研究が行われている【β(ベータ)グルカン】を含む食材
2018年8月13日
執筆者:元井章智
今回、発売された学術書【β-グルカンの基礎研究と応用・利用の動向】内のアガリクスのパートを東京薬科大学免疫学教室と共同で執筆しました。
今回のコラムでは、β-グルカンとはそもそもどのような成分なのか?β-グルカンを含む食材についてご紹介いたします。
β(ベータ)グルカンとは?
β-グルカンとは、細菌、真菌、酵母や大麦など穀物の細胞壁に含まれる成分です。
(アガリクスを含むキノコ類はカビ類と同じ真菌類に分類されます。)
β-グルカンと言っても様々な形をしており、中でもキノコ類やパン酵母に含まれるβ-グルカンは、様々な健康作用があるとして注目を浴びています。
↑キングアガリクスとハナビラタケに含まれるβ-グルカン
キノコの種類が違うとβ-グルカンの形が異なり、作用も異なります。
補完代替療法の分野で研究されているβ-グルカン
β-グルカンの中でも、1,3/1,6グルカンと呼ばれるタイプのものは主に補完代替医療の分野で健康食品・サプリメントとして使用されています。(中には抗がん剤として使用されていたものもあります。)
研究が進んでいるβ-グルカンを含む食品としては、キノコを中心として以下のようなものがあります。
キノコに含まれるβ-グルカン
シイタケ
よく食卓に出てくるシイタケ
実はシイタケに含まれるβ-グルカンは【レンチナン】と呼ばれ、注射薬の抗がん剤として販売されていました。
スエヒロタケ
木に生えている1cmくらいの小さいキノコです。
抽出されたβ-グルカンは抗がん剤【シゾフィラン】として販売されていました。
カワラタケ
英語名で【Turkey Tail(七面鳥の尾)】と呼ばれる見た目がきれいなキノコです。
こちらも抗がん剤【クレスチン】として販売されていました。
マイタケ
マイタケに含まれるβ-グルカンは【グリフォラン】と呼ばれ研究が行われています。
アガリクス
私たち、東栄新薬株式会社と東京薬科大学薬学部免疫学教室が主として研究を行っており、β-グルカンの構造式を確認しました。
露地栽培されたアガリクスは、ハウス栽培されたアガリクスに比べ、1.5倍のβ-グルカンを含みます。
ハナビラタケ
ハナビラタケは1,3グルカンと呼ばれるβ-グルカンが豊富なキノコです。
キノコ以外でβ-グルカンを多く含むもの
パン酵母
パン酵母(S.セレビシエ)は古くから食品の発酵などに広く使用され、その用途はパン、ビール、ワインなど様々です。
主にヨーロッパで健康食品、サプリメントの原料として広く使用されています。
コンブ
【ラミナリン】と呼ばれるβ-グルカンが含まれます。
大麦に含まれるβ-グルカン
大麦に含まれるβ-グルカンは、キノコ類とは異なり、1,3/1,4グルカンと言われるタイプのもので、アメリカでは「冠状動脈心疾患(心筋梗塞など)のリスク低減に役立つ」、ヨーロッパでは「正常な血中コレステロールの維持に役立つ」として、広く健康効果が知られています。
まとめ
今回は、様々な研究が行われているβ-グルカンについてと、β-グルカンを含む食材・食品についてご紹介しました。
弊社では、今後も東京薬科大学とアガリクスに含まれるβ-グルカンに関する研究を継続し、情報発信をしていきたいと思います。
投稿者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー