ヨーロッパのサプリメントについて
2017年10月2日
執筆:元井章智
先日参加した第9回国際薬用キノコ学会(9月25~28日 イタリア シチリア)に併せて、イタリアNo.1のサプリメントメーカーS.I.I.T.社(ミラノ)を訪問し、現地の情報を教えて頂きました。
ヨーロッパのサプリメント
ヨーロッパ(EU圏)は、サプリメント(Food Supplement)に関しては、新規成分の承認のハードルが高いことから、古くからあるサプリメント素材が多いのが特徴だそうです。
ヨーロッパで流通しているサプリメント
ビタミン類
日本でもおなじみのビタミンCをはじめ、こちらではビタミンDが広く流通してます。
*ビタミンDは欧米では非常に人気の高いサプリメントです。
その他、ビタミンB群、葉酸などを併せたマルチビタミンも人気だそうです。
ミネラル類
循環器系に良いとされるマグネシウムが非常に人気があり、実際に薬局に行ったときにも目立つところに置かれていました。その他、カルシウム、鉄分などが人気です。
乳酸菌
日本では乳酸菌は【生きている菌(生菌)】と、【死んでいる菌(死菌)】のどちらも効果は同じとされていますが、ヨーロッパでは圧倒的に【生きている菌】が良いとされ、直前に液体と混ぜて飲むサプリメントが流行ってます。
ハーブ類
うつ状態:セント ジョーンズ ワート(セイヨウオトギリソウ)
認知機能:イチョウ葉(医薬品になっているものもあります)
免疫増強:エキナセア、ガーリック、クルクミンなど
実際に薬局を訪問してみて
イタリア滞在期間中、何軒かの薬局、ドラッグストアーを訪問しました。
(薬局の写真)
(夜はライトがついていました)
なお、こちらでは『シエスタ』という昼食後にお休みする習慣があるため、午後に訪問したら閉まっている店舗もありました。
(午後に訪問したら閉まっている薬局)
(昼食後にシエスタが入り、オープン時間は8:30~13:00、16:30~20:30)
以下、実際に訪問して感じた、日本とヨーロッパとの違いについてご紹介いたします。
ヨーロッパと日本のサプリメントの違い
マグネシウムの人気
一番意外だったのが、マグネシウムが人気なことです。
(実際に薬局で販売されているマグネシウム製品)
日本ではあまり注目されていませんが、マグネシウムが不足することで以下のような不調が現れます。
●筋肉のふるえ、硬直、皮膚や筋肉などへのカルシウムの沈着のほか、神経過敏症や抑うつ症など症状が現れます。
●血圧上昇や不整脈をはじめ、動脈硬化や心筋梗塞などの危険性が高まります。
ハーブ類の普及
日本では、漢方以外では植物由来の医薬品、サプリメントはあまりありませんが、ヨーロッパではドイツをはじめ、ハーブ(植物)由来のサプリメントが広く普及しています。
(イタリアの薬局のハーブ由来サプリメントコーナーの写真)
先述した、セントジョーンズワート、イチョウ葉、エキナセア等の他、
タンポポ、パイナップル、アロエベラを原料にしたサプリも販売されていました。
よく言われますが、話に聞いていたのと、実際に自分で「聞いて」「見た」ものにはギャップがあります。
なるべく自分で体感できるよう、今後も機会があれば、国際学会や展示会などに積極的に参加したいと思います。
投稿者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー
PS.
アガリクスの主成分=β-グルカンについて
ヨーロッパでは、キノコ類のほか、パン酵母が広く普及しているため、β(ベータ)-グルカンが広く認知されていることを肌で感じました。
実際に打ち合わせの時に、β-グルカンの働きについて説明しようとしたところ、「それは、十分わかっているから大丈夫です」と言われました。