アガリクスの菌糸体と子実体
アガリクスの菌糸体と子実体の違い
(2017年4月3日)
執筆:元井章智
アガリクスを健康食品・サプリメントとして製造する際の原料は
一般的な【キノコ】のイメージである【子実体(しじつたい)】と
普段はほとんど見かけない【菌糸体(きんしたい)】に分けることができます。
子実体と菌糸体はどのように違うかというと
上のイラストのように
子実体は普段食べているキノコのカサとエの部分
菌糸体は普段食べないキノコの根っこの部分
となります。
アガリクスの子実体・菌糸体の写真
実際のアガリクスの子実体・菌糸体の写真は以下になります。
アガリクスの子実体
(左:ハウス栽培アガリクス 右:自然露地栽培アガリクス)
アガリクスの菌糸体
菌糸体の顕微鏡写真
菌糸体が成長した様子
アガリクスの子実体、菌糸体の生産方法
健康食品・サプリメントの原料として生産する場合は以下のような違いがあります。
子実体の生産方法
一般的なハウス栽培と、自然露地栽培に分けられますが、どちらも堆肥を使用します。
一般的なハウス栽培
ハウス栽培と聞くと
このようなビニールハウスをイメージする方が多いかと思いますが
実際のアガリクスのハウス栽培は、ご覧のように日光を遮って行われます。
(写真はブラジルのハウス栽培の様子)
そのため、小ぶりなアガリクスとなります。
小ぶりなハウス栽培アガリクス
自然露地栽培
自然露地栽培は日光の下で、栽培が行われます
そのため、一般的なハウス栽培に比べ大きく育ち、
主要成分のβ-グルカンやビタミンDを豊富に含みます。
菌糸体の生産方法
堆肥を使用して栽培する子実体に対し
一方の菌糸体は人工的にタンクで培養します。
コストがかからず、大量生産できるので
アガリクスがブームになった時に
他業種から参入してきたメーカーの多くが、
このタンク培養した菌糸体製品の販売を行いました。
アガリクスの菌糸体と子実体製品の違い
食経験の違い
大きな違いは食経験の違い
子実体=昔から原産地ブラジルで食されてきた歴史がある
菌糸体=通常食べない部分で食経験の歴史がほとんどない
となります。
研究実績の違い
また、もともとアガリクスを扱っていた
アガリクス専業メーカーのほとんどは子実体を扱っていました。
そのため、子実体の安全性・有用性に関しては多くの研究が行われています。
一方、菌糸体は手軽に安価で生産できることから
アガリクスブームの時に参入してきたメーカーの多くが
この生産方法を選びました。
いわば、アガリクス兼業メーカーであったため、研究自体もほとんどされませんでした。
(現状では、菌糸体製品はほとんど販売されていません)
このような食経験、研究実績の違いから
アガリクス製品を選ぶ際には
安全・安心といった面で子実体が一般的となっています。
投稿者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー