漢方薬局・鍼灸院を見学しました

2017年7月31日

生薬

昨年より東京薬科大学の中医学講座を受講していて、これまでに初級、中級コースを受講してきました。今回、中医学講座の一環として開催されている「中医学」理論に基づいた漢方薬局・鍼灸院の見学会に参加してきました。

その際に、漢方薬局とはどのようなところなのか?、一般的な病院で受けている医療(西洋医療)との違い、「免疫力増強」を目的として使用する生薬などを教えて頂きましたので、今回のコラムでご紹介いたします。

漢方薬局にて

漢方薬局

見学させて頂いた漢方薬局さんの概要

○健康保険を使って3割負担となる一般診療ではなく、基本的に全額自費診療です

○漢方、生薬、健康食品をとり扱っています

○定期的に一般のお客さんを対象としたセミナーなども開催

○中医学を学んだ先生が個別相談を受けていて、基本的には予約制(1回の相談が40分くらい)

来局するお客さん

○70~80%の方が病院に通っていて、体質改善を目的として来局する方が多い

○来局頻度は疾患にもよるが2週間から1か月

○女性が7割

○疾患としては、不妊症、更年期障害、皮膚トラブル、免疫異常(アレルギー)が多い

中には、がん患者さんも来られるそうです

実際に使用する漢方について

以下は実際に使用している漢方についてうかがいました。

製品としては生薬(しょうやく=煎じて飲んだりします)、丸剤(がんざい=丸い薬)、散剤(粉薬)などがあります。

生薬

生薬

漢方の原料で、いくつかの種類を配合して処方し、患者さんがご自身で煎じて飲んだりします。煎じるのに1時間くらいかかるので、最近では生薬をそのまま処方する機会は減ってきたとのこと

丸剤

丸剤

「●●丸」といった名前の通り、丸い薬です。

飲みにくい等の理由で、もともとの処方である●●丸を散剤にしたりすると効き目が落ちたりするそうです。

散剤

散剤

××散、○○湯といった粉薬で、エキスや、生薬を粉末状にしたものです。そのまま水で飲んだり、お湯に溶かして飲んだりします。

以下のようなことを教えて頂きました。

1)同じ処方(配合)でもメーカーによって産地などが異なるので品質が違う。

2)同じメーカーの同じ処方(麦門冬湯(ばくもんとうとう)など)でも医療用と一般用とが出ている

漢方

医療用と一般用で包装が違っていました。

医療用に関しては販売価格がある程度決まっているが、一般用は決まっていない。

そのため、一般用のほうが配合されている生薬になどにこだわっていて質がいいものなどがあったりする

3)植物由来と動物由来の違い

漢方

(麝香と牛黄を配合した漢方)

植物原料のものより、麝香(ジャコウ=雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物)や牛黄(ゴオウ=牛の胆のう中に生じた胆石)などの動物由来の生薬の方がキレが良い

4)免疫関連の生薬として

霊芝、冬虫夏草、タヒボ、田七人参などを利用するそうです。

病院の漢方との違い

病院で処方される漢方は、中国ではるか昔(中国の後漢末期~三国時代)に書かれた【傷寒論(しょうかんろん)】を元にしている。そのため生活習慣病、メタボのような近年問題となっている病気に関する処方はあまりない。

一方、漢方の専門薬局などで使われている漢方は、生活習慣病、メタボのようなものにも対応可能となっている。

また、漢方の専門薬局では患者さんにいろいろな症状をお話し頂いた上で、病名ではなくその人の【証】(瘀血(おけつ)、気虚など)にあった漢方を選ぶ。

風邪を例としてパンフレットを使って教えて頂きました。

漢方

寒タイプと、熱タイプ、すごい解りやすいですね。

鍼灸院にて

鍼灸院

漢方薬局さんを見学した後、同じく中医学に基づいた鍼灸院さんを見学しました。

直接体に触れらながら診察できるので、中医学の四診(望、聞、問、切)に基づいた治療が可能とのことです。

四診(ししん)

望診(ぼうしん)=顔色や舌などを診ます

聞診(ぶんしん)=患者さんの声色の他、体臭、口臭などを診ます

問診(もんしん)=自覚症状、家族歴、生活状態など質問します

切診(せっしん)=脈に触れるなど、患者さんに触れることで診断を行います

実際の治療例として、診断に基づいて経絡(大腸経など)に沿って鍼灸などを行います。

漢方薬による治療を補完することができるので、漢方+鍼灸という組み合わせは非常に理にかなっていると感じました。

中医学全般として、流派によって診断方法がかなり違うといったことも教えていただきました。(例:初診時は問診だけで2時間かけるなど)

漢方薬局、鍼灸院を見学して

今まで調剤薬局や薬局・薬店は、ドラッグストアーを訪問した経験はありましたが、本格的な漢方の相談薬局さん、鍼灸院さんを見学させて頂くのは今回が初めてでした。

お客さんとして多い、不妊症、更年期障害、皮膚トラブル、免疫異常(アレルギー)、がんはどれも一般的な西洋医学が苦手とする分野ですね。

実際に診断されている先生からは、「もっと早く来てくれれば、、、」(特にがんと不妊症)といった声をうかがいました。

根本的な体質改善を目的とした中医学(漢方や鍼灸など)は、決して、西洋医学と相反するものではなく、西洋医学と併用することで、足りない部分を補完する(補完医療)こともできるかと思います。

患者さん負担が3割の一般的な保険診療ではないため、費用面ではハードルが高い部分がありますが、保険診療で症状が改善しなかったり、副作用に困っている場合には、治療の選択肢の一つとなりうるかと思います。

昨年から通っている中医学講座で習ったことを実際の医療の現場で見ることで、より身近に感じる良い機会となりました。

東栄新薬株式会社

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智