がん専門医に【がんの補完医療】について聞きました

2017年7月24日

先日、がん統合医療の専門医である健康増進クリニック院長の水上治先生にインタビューする機会がありました。その際に、水上先生から【がんの補完医療】の考え方について解りやすくご説明頂きましたので、インタビュー形式でご紹介したいと思います。

Q. がんの補完医療について教えて下さい

医療

水上先生

【がんの補完医療】とは、どのような医療かというと【がんの西洋医療(3大療法=手術、抗がん剤、放射線療法)で足りない点を補完=補う医療】のこと。

【補完医療】とは決して、西洋医療を否定するものではなく、あくまで【補完する医療】です。

同じような言葉で【補完代替医療(補完医療+代替医療)】といったものもありますが、【代替医療】とは「西洋医療を否定・中止し、3大療法にとって代わる医療」といった意味あいも含みます。

補完医療と代替医療の違い

解りやすく、補完医療と代替医療の違いを例として挙げます。

補完医療

抗がん剤の副作用(脱毛、吐き気、倦怠感)に悩み体力が落ちている患者さんに対して、治療を行うための体力を補ったり、副作用を緩和するために行う医療のこと(具体的には栄養療法やサプリメントの処方など)。

代替医療

同じような患者さんの場合に、抗がん剤を中止させ独自の医療に切り替える医療。

*俗に、「この治療さえやっていれば大丈夫」といって宣伝するケースが多い。

代替医療を行う医療関係者の中には、がん患者さんに西洋医療を中止させ独自の治療法に誘導するケースも多いです。実際に、私(水上先生)のところには、急に抗がん剤を中止したために病状が一気に進行してしまった患者さんが訪れることもしばしばあります。

そのため、私(水上先生)は、【補完代替医療】とはいわず、【補完医療】といった言葉を使います。

Q.【がんの補完医療】とは具体的にどのようなものですか?

医療

水上先生

具体的な治療を考える前に

そもそも、がんがどのようにして進行しているのかを考えることが重要です。

健康な人でも、がん細胞は1日5,000個程度できていると考えられますが、自己治癒力(免疫力)によって、がん細胞の増殖は抑え込まれ、健康な状態が維持されています。

免疫細胞

(左:がん細胞  右:免疫細胞)

免疫力ががん細胞を抑え込んでいるイメージ

しかし、永年に渡って免疫力が低下している状態が続くと、がん細胞を抑えることができずにがん細胞が徐々に大きくなり、がんを発症します。

免疫細胞

免疫力が低下して、がん細胞を抑えきれないイメージ

このため、免疫力、より大きな意味では「生命力」を高めることが重要になります。

では、「生命力」と高めるとどうなるか?

生命力

(実際には水上先生は左手と右手でジェスチャーしながらご説明頂きました。)

今の状態が①の状態とします。

がん細胞の増殖スピードに生命力が負けているために、がん細胞が徐々に大きくなっている状態です。

それでは、生命力を高める工夫(運動療法、食事療法など)をすることで、②の生命力が高まった状態になると、どうなるか?

まだ、がんの増殖スピードには追い付いていませんが、がんの進行を遅らせることができるのではないでしょうか?(がんの完治ということに目が向きがちですが、進行を遅らせるだけでも大きな成果です)

さらに③の生命力を高めてがんの増殖スピードに追い付けば、がんの進行を止められる可能性があり、④の少しでもいいので生命力が、がん増殖スピードを越える状態にまでもっていければ、がんが縮小することも考えられるのではないでしょうか?

この生命力を高めるため行われるのが、以下のような工夫=補完医療です。

補完医療

○運動療法

○栄養療法=バランスのとれた食事(特に和食)

○ストレスを軽減する工夫

○科学的な裏付けのあるサプリメントを摂る

(海外ではハーブや温泉なども積極的に利用されています)

そして、なによりも希望を持つことが重要です。

西洋医学(手術、抗がん剤、放射線療法)は基本的には対症療法で、「なぜがんが大きくなっているのか」といった根本的な原因には向き合っていません。

ぜひ患者さんには、希望を持って生命力を高めるような工夫=補完医療をとりいれて頂きたいと思います。

医学と医療の違い

診察

補完医療に関するお話として【医学と医療の違い】といった内容もお話し頂きましたので、併せご紹介します。

以下、水上先生にうかがいました

【医学】とは科学的なデータをもとに積み重ねられたもので、100人いたら●●人が、、、といったように患者さん個人個人ではなく、全体的なグループとしてとして考えるもの。

具体的には、「肺がんのステージⅡの場合、5年生存率は●●%で、治療方針としては手術を行い、術後補助療法(抗がん剤)を行う」といったものです。

一方、【医療】とは医学に患者さん個人の価値観を加えたもの。

例えば、「乳がんや子宮がんの場合に摘出手術を受けたくない」、「苦しみたくはないので抗がん剤を受けたくない」といった患者さん個人の価値観を尊重した上で、治療方法を選択するものです。患者さん個人の価値観を尊重して治療を選択することから、テーラーメード医療ともいえるかと思います。

健康増進クリニック院長

水上治先生

水上先生

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お話をうかがって感じたこと

「がんの進行スピードと免疫力を含む【生命力】の関係」など

水上先生に補完医療の役割について非常に解りやすくご説明頂きました。

また、【なによりも希望を持つことの重要性】についても再確認させて頂きました。

今後、患者さん個人の価値観を尊重したテーラーメード医療の普及が望まれます。

東栄新薬株式会社

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智