人の生活に役立つ真菌(カビや酵母)【真菌コラム第7回】

2017年3月29日

人の生活に役立つ真菌(カビや酵母)

 みなさんは『お米をよく噛むと甘くなる』といったことを小学校の理科の時間に習ったことはないでしょうか?このお米をよく噛むと甘くなる、という現象は私たちのだ液に含まれているアミラーゼという酵素が、お米のデンプンを麦芽糖と呼ばれる甘い糖に分解するからなのです。

ご飯

真菌もまた、私たちのようにデンプンなどを分解する酵素を持っています。真菌はさらにデンプンから分解された糖を発酵させる能力を持っていて、糖からアルコールを作り出します。こういった真菌の発酵という能力を利用して私たち人間はお酒やパンなど造っているわけなのです。

カビはお酒を造ったりする以外にも人間にとっていろいろと便利な酵素を持っていることで利用されることもあります。

ジュースづくりにも役に立つ

ジュース

真菌がジュース作りに役に立っているのは知っていますか?

ペクチンは植物に含まれていて、果汁などが濁ってしまう原因となっています。また、ペクチンが入っていると果汁やしょう油などがトロトロになってしまいます。こうなってしまうと、ろ過することが難しくなってしまい果汁の作れる量が低くなってしまいます。

そこで真菌が作り出すペクチナーゼというペクチンを分解する酵素を利用して、果汁やしょう油,オリーブなどをサラサラにしてろ過しやすくして回収量を高めることに真菌は利用されています。

薬をつくるカビ

薬

よくテレビでドラマを見ている人はすでに知っているかもしれませんが、カビの中には薬を作っているものがいます。ではどんなカビが薬を作ってくれるのでしょうか?

まず、薬を作ってくれるカビはアオカビというカビです。このアオカビの正式な名前は『ペニシリウム クリソゲヌム』という名前です。この名前からもすぐに気づく方もいると思いますが、アオカビはペニシリンという抗生物質を作ることでとても有名なカビです。

薬以外にも役に立つアオカビたち

チーズ

ペニシリンを作り出すアオカビ以外にもいろいろな種類のアオカビが役に立っています。

例えば、ペニシリウム ロックフォーティーはブルーチーズをつくるのにつかわれていたり、ペニシリウム シトリナムというアオカビはイノシン酸という化学調味料を作るのにつかわれています。このように同じアオカビ、と言ってもアオカビの種類によって用途が違ったりします。

和食に欠かせないカビたち

和食

日本は非常にカビの生えやすい環境と言えます。こんなことを言われるといやだなと思ってしまう方が大半かと思います。そのため、日本では伝統的にカビを利用してさまざまな食品を作ってきました。そんな経緯で日本食には欠かせないカビたちが意外と多かったりします。

かつおぶしの作り方にいたっては、意図的にカビの生えやすい環境にかつおぶしを置いて、アスペルギルス リペンス,アスペルギルス ルーパーというカビをかつおぶしにつけてヒノキのようなさわやかなにおいをかつおぶしにつけています。

かつおぶし

日本酒や、みそ、しょう油、漬物などの日本食に欠かせないものは実はカビによって作られています。これらの日本食に大きく関わるカビはコウジカビと呼ばれています。デンプンを含んだところにコウジカビを置くと、コウジカビがデンプンを糖に変えたり、ほかにも、コウジカビはタンパク質をアミノ酸に分解したりすることを利用しています。日本酒のあの独特な風味は、ニホンコウジカビを米飯上に繁殖させて作ったこうじとコウジカビがお米のデンプンを糖に変え、その糖をコウボ(カビの仲間)が作ったアルコールとがそれぞれが合わさってできています。

日本酒

これまで7回に渡ってキノコ、カビ、酵母など真菌に関するコラムをご紹介しました。

私たちの身近に存在する真菌について

へえー、と思って頂いたり、少しでもご健康にお役立ていただければ幸いです。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

東栄新薬株式会社

元井章智

*このコラムは私が専攻生として登録している

東京薬科大学免疫学教室のご協力により作成いたしました。