がんの疲労感に対する鍼と指圧の効果

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)で

【がんの疲労感に関する鍼と指圧の効果】

に関する講演がありましたので、その内容をご紹介します

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【がんの疲労感に対する指圧と鍼の効果】

Suzanna Zick(スザンナ ジック)博士

ミシガン大学ヘルスシステム

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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(講演の様子)

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まず初めにみなさんに質問です

がん患者さんにおいて最もよくある訴えは次のうちどれでしょう?

  • 痛み
  • うつ、不安
  • 消化管障害
  • 疲労感

正解は

  • 疲労感です

中等度から重度の疲労感を訴えるがん患者さんは

がん治療中だと~45%

がんのサバイバーでも~30%もいると報告されています

がんに伴う疲労感は

通常の疲労や疲れよりも複雑な要素が絡み合い

治療においても以下の点で重要とされます

○疲労感はすべての要素にマイナスな影響を与える

○がんに関連する他の要素、痛み、不眠、うつよりも日常生活に対する影響が大きい苦痛と患者さんは感じています

激しい疲労感は生存率を下げるリスクファクターであり

○がんの再発と関連があるかもしれない

○生存率に強い相関性がある

○昔から予後に関連し、予後の指標となりうる

がんに伴う疲労感に対して追加的な治療としては以下がある

○薬物治療

→副作用が懸念される(コルチコステロイド)

○運動

→執着、固執してしまう

○心理療法(認知行動療法)

→療法士によって効果が異なる

では鍼、指圧はがんに伴う疲れにはどうなのか?

【鍼・指圧の臨床試験】

対象者:

肺がん、白血病、卵巣がん、乳がんの

治療中もしくは治療後の患者さん

結果:

平均して30%疲れが軽減

副作用はほとんどなかった

疑似鍼・疑似指圧(*)と比較すると実際に鍼や指圧を行った場合は

少し効果が高い程度だったが

通常治療と比べると有意な差があった

疑似鍼・指圧について=sham(シャム)

通常の鍼や指圧で刺激するツボとは違う場所を刺激したり

実際には刺さらない、先の丸まった鍼で刺激をしたりする行為

プラセボ効果を見ていますが、実際には効くケースが多いようです

疑似鍼・指圧は有効なのだろうか?

乳がん患者さんを対象に

がんの疲労感に対する鍼の効果を検証したところ

本物の鍼の場合は効果が出ていたが、

疑似鍼でもある程度の効果が出ていた

疑似鍼・指圧に関しての検証結果

そもそも鍼・指圧におけるどの要素が

効果を発揮しているのかがよく解らず

検証する必要がある

例えば

体の感覚によるものなのか

患者さんと施術者の人間関係

など

また、がんに伴う疲労感を和らげるためには

鍼・指圧はどこを刺激することが多いのか

どのような鍼(リラックスさせるのか、刺激するのか)を

発表されている論文から検証した

鍼・指圧で刺激する場所

ST36 左足すねの上側

ST36

(UCLA Center for East-West Medicine ホームページ参照)

http://exploreim.ucla.edu/self-care/acupressure-point-st36/ 以下同様)

SP6 左足のくるぶしの上

SP6

http://exploreim.ucla.edu/self-care/acupressure-point-sp6/

LI4 左手の親指と人差し指の間

LI4

http://exploreim.ucla.edu/self-care/acupressure-point-li4/

その他

KI3 左足のくるぶし付近

CV6 おへその下あたり

また、リラックスさせる鍼の方が

刺激する鍼に比べて

より、がんに伴う疲労感を軽減する効果が確認された

(ただし、個々によって効果が異なる)

結論

○がんに伴う疲労は様々な要因によって引き起こされ

何が原因かは、いまだはっきりと解っていない

ただ、疲労感が起きるメカニズムはいろいろとあるようだ

○鍼や指圧は根本的なそれらのメカニズムに合わせて

行われる必要がある。

講演を聞いて

理屈は分からなくても、とにかく効果があり

先人たちの知識の積み重ねによって進化してきたのが

東洋的な【鍼】や【指圧】のイメージでしたが

科学的に鍼の効果やメカニズムを検証しようとしているのが

アメリカ=西洋的だなと感じました

同行したメディカルライターの方にうかがったのですが

1972年に当時のニクソン大統領が訪中した際に

麻酔針の効果を目の当たりにして以来

アメリカでは【鍼】に対する研究が急速に始まり

それに伴い認知度も上がっていったそうです

それにしても

30%疲労感を軽減して、副作用がないなら

日本でももっと積極的に取り入れるべきですよね

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください