アガリクスの主成分β(ベータ)-グルカンの構造について

ベータグルカン図説jpeg

国際薬用キノコ学会の発表で

薬用キノコ主成分であるβ-グルカンの構造について

非常に解りやすい発表がありましたので、ご紹介します

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『Analytical techniques and protocols for assessing the potency and quality of medicinal mushroom products and mushroom derived dietary supplements』

John Holliday (USA)

発表者にはJohn Holliday(USA)とありましたが

Danielという方が代理で発表されていたかもしれません

(講演スケジュールが変わり、途中から聞いたので確認できませんでした)

単糖と多糖類の種類について

分子ではなく構造が重要

同じ分子でも機能はまったく異なる

単糖

単糖の組成式は概ねCnH2nOn で表され

炭素の数によって三炭糖(トリオース)、四炭糖、五炭糖、六炭糖に分類される

例:

n=5のものを五炭糖(ペントース)

n=6のものを六炭糖(ヘキソース)と分類する

五炭糖 リボースなど

リボースの構造式 形が5角形になっている

リボース

化学式 C5H10O5

六炭糖 グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノースなど

グルコース 形が6角形になっている

グルコース

C6H12O6

ガラクトース

100px-Beta-D-Galactopyranose.svg

C6H12O6

ここで重要なのが、

グルコースとガラクトースは

化学式が同じC6H12O6だが

構造式が違うことによって性質が全く異なる

ということ

単糖の結合

次に

単糖が結合すると性質が変わり

結合した数によって以下のように分類される

単糖が1つ=単糖類 グルコースなど

単糖が2つ=二糖類 スクロースなど

単糖が3~10個=オリゴ糖(小糖類)

単糖が10個以上=多糖類(ポリサッカライド)

どの単糖が結合しているかで呼び名もそれぞれ変わる

単糖:グルコース が多く結合 → 多糖類:グルカン

単糖:マンノース が多く結合 → 多糖類:マンナン

多糖類について

多糖類は結合している場所や

結合の仕方によって性質が変わる

例:1,3β-グルカンなど

結合部位、結合の仕方について

1,3や1,4の意味は多糖類同士が結合している場所を表している

グルコースの環状結合

グルコースの環状構造(日本食品分析センターHPより)

①と③が結合すれば1,3となり

①と④が結合すれば1,4となる

この結合の時にそのまま順列に結合すればαグルカン

αグルカン

順列に結合したα-グルカン

結合の時に逆さにひっくり返って結合すれば

β-グルカンと呼ばれる

β-グルカン

逆さまに結合したβ-グルカン

具体例

アミロース

結合部分が1と4で順列に結合したもの=アミロース(α1,4グルカン)

セルロース

結合部分が1,4で逆さに結合したもの=セルロース(β1,4グルカン)

アミロースはデンプンの構成成分であるのに対して

セルロースは植物の細胞壁の主成分であるなど

結合の仕方がα結合か、β結合かで性質が大きく異なる

→ ちなみに紙の主成分はセルロースです

デンプンと紙、同じ1,4グルカンでも全く違いますよね

2次的な結合

1,3グルカンや1,6グルカンなど

それぞれのグルカンが2次的に結合する

例:キングアガリクスに含まれる1,3、1,6β-グルカン

ベータグルカン図説jpeg

同じ、1,3グルカンと1,6グルカンが結合した

1,3-1,6β-グルカンでも

アガリクスは1,3グルカンに対して2個ごとに1,6が結合

シイタケは5個ごと、霊芝は8個ごとに結合している

→ 実験の仕方によっても違うことがあるようです

3次的な結合

2次的に結合した1,3-1,6β-グルカンが

3次的に結合する

キノコ類はらせん状に3次的結合する

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(●=それぞれが2次的な結合をしたグルカン)

トリプルへリックス 3本のβグルカンが7個ずつ集まって1回転している

(なお、同じβ-グルカンでも酵母は葉っぱみたいな形で3次結合します)

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いままでβ-グルカンをはじめとする多糖類に関しては

断片的な知識しかありませんでしたが

今回の講演を聞くことによって

バラバラだった知識をまとめることができました。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

PS.

以下は東京薬科大学免疫学教室の山中先生に補足情報として教えて頂きました。

β-グルカンが機能を発揮するには

β-グルカン受容体であるデクチン1(Dectin1)レセプター(受容体)を刺激する必要があります

そしてレセプターを刺激するには

トリプルヘリックス(らせん構造)が3回転(7×3)以上が必要

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さらに、いくつかのデクチン1受容体を同時に刺激する必要があります

簡単に言うと

β-グルカンが細胞を刺激するには

分子量が大きくなければいけない

分子量が大きいβグルカンを体内に吸収させようとして

低分子化してしまうと

アンタゴニスト(受容体にフタをしてしまう)にとして作用してしまうため

効果が弱くなってしまうことが論理的に考えられます

そのため、β-グルカンは

低分子化、酵素処理、水溶性などの人工的な処理は行わず

なるべくもとのままの状態で摂ることが勧められます。