がんに伴う痛みと鍼治療

2016年1月7日

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)で

【がんに伴う痛みと鍼治療】

に関する講演がありましたので、その内容をご紹介します

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【がんに伴う痛みと鍼治療】

Jun J Mao(ジュン J マオ)博士

ペンシルヴァニア大学

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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(講演の様子)

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PUBMED(世界的な文献検索サービス)によると

年々、がん治療と鍼に関する論文発表が年々増えてきていて

発表論文数は2000年では20本しかなかったのに対し

2014年では100本以上となっている

つまりそれだけ、がん治療に鍼治療が導入されるケースが

増えてきていると言える

がん治療における鍼治療の位置づけ

【明確なデータがある】

化学療法(抗がん剤)に伴う吐き気、嘔吐

【はっきりとはしていないが、効果が期待される】

痛み(がんに伴う痛み、アロマターゼ阻害薬による関節痛、化学療法に伴う神経痛)

手術後の腸閉塞、口腔内乾燥症、ホットフラッシュ、不安、うつ、睡眠の質、疲労、リンパ性浮腫

実際の患者の声

Anne Smith(アン スミス)61歳 2007年

ステージⅡの乳がん患者、化学療法が終了後、ホルモン療法を6か月

鍼治療の前

「体がとにかく痛い」

「まだ61歳なのに、体が80歳になったような気分」

「テニスが好きなのに肘と肩が痛くてとてもできない」

「この治療を続けていいのか本当に解らない」

6か月間の治療後

「痛みが本当に良くなって、テニスができるようになった」

電気鍼の治療成績でも12人11人の関節痛が改善している

(疲労感と不安感も同様に改善)

電気鍼と疑似鍼による臨床試験

電気鍼、疑似針(*)、治療なしの3グループに分けて

アロマターゼ阻害薬に伴う関節痛に対する治療効果を検討

*実際には刺さらないような偽物の鍼

結果

電気鍼、疑似鍼で痛みに対する効果が確認

その他の項目として

電気鍼は疲労感、睡眠、不安、うつ

疑似鍼は疲労感、睡眠、うつに効果が確認された

なぜ電気鍼と同じく疑似鍼で効果があるのか?

電気鍼は身体を刺激して精神に影響を与える

疑似鍼は精神を刺激して身体に影響を与えるのではないか?

電気鍼と薬物療法との比較

ホットフラッシュに対する効果を

薬物治療と比較したところ、鍼治療の方が治療成績が良く

副作用も少なかった

まとめ

電気鍼や軽い刺激といった刺激の違いが

がんに伴う痛みの治療に違った影響を及ぼすかもしれない

鍼はがん患者の痛みを対象とした治療法帆となりうるかもしれない

薬物療法と比較して、鍼治療は副作用が少なく効果が高い可能性がある

成績を評価するためにはより多くの試験が必要となる

鍼治療はがんに伴う諸症状(痛み、疲労など)を対象とすることで

がん治療そのものにも好ましい影響を与えられるかもしれない

講演を聞いて

学会中にすでに鍼治療の疲労感に関する他の講演を聞いていましたが

改めて、治療効果の高さと適応となる範囲(痛みから吐き気など)を聞き

鍼の有効性について再認識しました。

(特に薬物治療よりも効果が高かったという試験成績)

また、

電気鍼は 身体から精神へ

疑似鍼は 精神から身体へ影響と与えるといった発想も新鮮に感じました

海外では、鍼治療がこれだけ高く評価されているので

いつか、日本でもがん治療に鍼治療が導入される日が来るといいのですが

それまでかなりの年月がかかりそうですね

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください