リンパ性浮腫について

2016年1月14日

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アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)で

【リンパ性浮腫】

に関する講演がありましたので、その内容をご紹介します。

(最後にリンパ性浮腫と鍼治療に関する発表がありました)

【リンパ性浮腫について】

Beverley De Valois(ビバリー ヴァロイス)博士

イギリス マウントバーノン

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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リンパ性浮腫とは?

ベッドで休んだり、挙上(腕や足などを高く持ち上げること)をしても治らない、3か月以上続くむくみ。

リンパ系統の欠損によって、リンパ液が間質性のすきま、主に皮下の脂肪組織に溜まる。

過剰なタンパク組織の異常な集積、浮腫、機能性炎症、繊維化が特徴となる。

【リンパ性浮腫のステージ】

ステージ0:リンパ循環不全はあるが、症状なし

ステージⅠ:挙上(腕などを上にあげる)により軽減、圧迫するとくぼみができる場合がある

ステージⅡ:挙上するだけでは軽減しない、圧迫するとくぼむ浮腫

ステージⅡ後期:脂肪蓄積や繊維化が進行

ステージⅢ:象皮症、浮腫は押してもへこまない。表皮の肥厚、脂肪の沈着、繊維化が進む

【リンパ性浮腫が起こる場所】

腕や手、足、胸、肩、背中、腰、腹部、陰部、頭、首、顔など

身体のどこにでも起きる

【臨床的な特徴】

慢性的に進行し、回復しない

あまり理解されていない

しばしば進行するまで見逃されたり、誤診されたりする

運動で改善する

利尿剤では改善しない

症状は変動する。症状が無い期間がある場合もある

【リンパ性浮腫の分類】

原発性:生まれつき、先天性の異常やリンパ系の疾患

2次性:リンパ系が原因ではない疾患や外科手術、外傷

【原発性のリンパ性浮腫のタイプ】

以前の分類

1、先天性 生まれて間もなく症状が出る

2、Praecox 35歳までに発症

3、Targa  35歳以降に発症

新しい分類

6つの診断カテゴリーと20のサブカテゴリーで分類

【2次性のリンパ性浮腫のタイプ】

発展途上国ではフィラリア

先進国では癌(がん)治療に伴うものが多い

リンパ廓清、放射線療法、タキサン系の抗がん剤

がん治療の直後や何年もしてから発症する場合もある

【癌(がん)に関連するリンパ性浮腫】

2次性のリンパ性浮腫と癌(がん)との関係

○乳がん患者 3~89%(乳がんサバイバーの20%)

○婦人科系がん 28~47%

○メラノーマ わきの下のリンパ節の手術 1~39%

骨盤、鼠蹊(そけい)部のリンパ節手術 6~66%

○サルコーマ 30%

○頭頸部がん 10~40%

【リンパ性浮腫の症状と問題点】

リンパ性浮腫そのものによるもの

腫れ、急性の感染症、リンパ漏、深部静脈血栓

身体的、精神的なもの

痛み、不快感、うつ、不安、睡眠障害、身体的な制限、肥満、見た目の問題、性機能、がん告知への適応、失職、人間関係の問題

【リンパ性浮腫の治療法】

集中的な治療方法

進行性のリンパ性の浮腫に対して

以下を組み合わせて行う

バンデージ、スキンケア、運動療法、リンパ液の排出

毎日2~4週間

維持療法に引き継がれる

維持療法

外側から抑える/圧迫する、スキンケア、運動療法、リンパ液の排出(1日2回が推奨)

毎日、一生涯に渡って続けられる

【リンパ性浮腫のスキンケア】

皮膚を傷つけるようなことは極力避ける

例えば

意図的には、採血、注射、血圧測定

偶発的には、虫刺され、家事や園芸中の怪我、ペットによる怪我、

剃刀負け、爪切りやハサミ、裁縫中の針刺し

【蜂窩織炎(蜂巣炎) 皮膚に起こる細菌による感染症】

生命の危険性

早急な治療が必要

2週間抗生物質を投与

入院が必要となる可能性もある

年に2回以上発症するようなら、予防的に1年間抗生物質を投与する

蜂窩織炎はリンパ性浮腫を起こす、悪化させる可能性や

健康状態を悪化させる可能性がある

【リンパ性浮腫の悪化】

針などの外的な刺激が腕などに起こると、炎症を伴う免疫系が刺激され、リンパ系にさらにストレスがかかり、すでに傷ついているリンパ系にさらに負荷をかけてしまう。

【リンパ性浮腫と鍼について】

どのような意見があるのか?

○リンパ性浮腫の患者にはどのような鍼治療も行われるべきではない

○鍼治療自体はOKだが、症状がある部位は避けるべき

○清潔な主義を用いれば、症状がある部位でも問題ない

○症状がある部位への鍼治療は効果的でリンパ性浮腫の治療につながる

などの意見があり、それぞれの意見の元となるエビデンス(データ)はほとんどない。

リンパ性浮腫と鍼治療の関係については

今度、更なる研究が行われる必要がある。

【講演を聞いて】

がんの手術をした際に

目に見えないがん細胞の転移を防ぐためにリンパ廓清を行い

乳がん患者さんで、ときどきリンパ節浮腫がおこってしまうことは、

以前から知っていましたが

『リンパ性浮腫』をメインテーマにした講演は初めて聞きました。

さらに、講演では患者さんのスライドが何枚も出され、

今まで自分で考えていた『浮腫』とのイメージが大きくかけ離れていたこともあり、

かなりインパクトを受けた講演でした。

鍼に関してもまだ、はっきりとしたエビデンスもなく

効果的な治療法がないことから

リンパ廓清の必要がないような早期の段階で発見することの

重要性を再認識しました。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください