患者中心の医療

2016年1月25日

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執筆:元井章智

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)で

【患者中心の医療】に関して

乳がんサバイバーの方の講演がありましたので、その内容をご紹介します

【患者中心の医療(乳がんサバイバーの立場から)】

Luana DeAngelis(ルアーナ デアンジェルス) 2回乳がんに罹患経験あり

You Can Thrive!! 設立者・代表

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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(講演の様子)

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人生を通してがんを予防するために

乳がんのリスクは、健康的な体重維持、日常的な運動、健康的な食生活などの生活スタイルを見直すことで38%まで減らすことができる。

マンモグラフィー

カナダにおける追跡調査

44,900人の女性を25年間追跡調査

マンモグラフィー検診を行っていた人と

マンモグラフィーではなく通常の検診を行っていた人とで

乳がんによる死亡者数の違いはなかった

この結果を受けて、現在、マンモグラフィー検診の必要性には諸説ある

最終的な乳がん検診のガイドライン

2015 アメリカがん協会の乳がん検診に関するガイドライン

40~44歳 本人の希望によって、年に1回検査

45~54歳 年に1度検査を受けるべき

55歳~  2年に1度検査を受けるべき(本人希望で毎年検査)

標準的な乳がん治療

○可能ならば手術によって腫瘍を摘出する

○乳房再建(場合によっては複数回に分けて手術と処置を行う)

○化学療法(複数回のコースが通常)

○放射線療法

○ホルモン療法:エストロゲンブロッカー(長期間の化学療法)

標準的なアフターケア

看護師、ワーカー、ナビゲーターによるコンサルテーション

○教育的な要素、一般的な教育情報

○医療用かつら、人工乳房の販売店、作業療法士の紹介

○食事指導(非常に限定的)

○いくつかの病院では統合医療ケアを行っている

統合医療的な早期緩和ケアとサバイバーシップ

教育、指導、身体活動、食事全般、鍼、タッピング、アロマテラピー、音楽療法、瞑想、霊気、デトックス、コミュニティーサポート

緩和ケアとは

緩和ケアとは患者の生活の質(QOL)と

その家族が直面している生命にかかわる病気に関連する問題を改善する方法

痛みや、その他の身体的、精神的、スピリチュアルな問題を治療する

情報をどこでとるか

乳がんのサバイバーシップのために、どこから情報を入手するか?

77% 乳がんサバイバー 

60% 医師

47% インターネット

41% 友人

36% NPO、患者会などのコミュニティー

26% 看護師

精神的なトラウマを避けために

がんのサバイバーは多くの支援事業などを要望するが、多くの人は精神的なトラウマによって、ケアやサービスを受けた施設、組織などには戻ろうとはしない

近年のがん治療において個別にサポートすることは必須となっている

乳がんサバイバーにとってどの身体的苦痛がサポートを必要としたか?

疲労感 71~73%

記憶力、集中力 53~63%

外見 56~58%

睡眠 25~34%

食事 23~28%

痛み 21~32%

吐き気 12~20%

性的問題 18~34%

手足のしびれ 21~22%

最高の治療のために

緩和ケアは追加項目ではなく必須である

感情的、精神的トラウマはしばしばがん治療の妨げとなるが、医師によってしばしば克服されることがある

緩和ケアは8つの明確な領域に対応する

不安・うつ、認知機能、運動、疲れ、免疫と感染症、痛み、性的機能、睡眠障害

患者が統合医療を選んだ時=緩和ケア

ほとんどのがん治療(70%以上)は外来で行われる

サバイバーの90%は全身的な治療を利用していた

患者はバイアスのかかっていない(偏っていない)十分なサポートを必要としている

患者は信頼できるバイアスのかかっていない情報を探している

統合医療とは全身的な治療である

健康とは、精神的、身体的、医学的、社会的、スピリチュアル・文化的な側面がある

がんについてどのように考えが変わってきたか?

古いパラダイム(規範)

細胞の健康状態は遺伝子によってコントロールされている

最近のパラダイム

細胞の健康状態は環境によってコントロールされている

統合医療に関して

90%以上のがん患者がハーブやサプリメントなどの統合医療を選んでいる

患者は医師が統合医療に関する知識不足から、統合医療を信頼せず、患者をサポートしないことに対してしばしば不満を抱えることがある

そのため、多くの患者は利用している統合医療に関して医師に嘘をついたり、説明をしなかったりする

チーム医療の必要性

統合医療ナビゲーター、アドボケイターが患者と医師との橋渡しを行い、QOLの改善のために教育、協力する

早期緩和ケア

個人的なサバイバーシッププラン

効果の確認された治療法の選択

一体感をもってサポートする

必要な場合はホスピスケアにつなげる

統合医療的なアフターケア

統合医療的アプローチ

よりよいQOL(生活の質)

少ない精神的トラウマ

よりよい結果

私たちに何ができるか?

○若い男女も含めて全ての人に、自分の体のことやパートナーのことを知ってもらう

○がんと診断された人に対して、本当に役に立つ支援を行う

講演を聞いて

「患者中心の医療」に関するサバイバーの方の講演が、

学会会場のメインホールで行われるといったことから

この学会が、患者さんの方を向いている学会だと再認識しました

そして、冒頭にあった

「マンモグラフィー検診は乳がんの生存率には影響を与えない」

といった結果と

45歳から(自ら望む場合には40歳から)乳がん検診を推奨している

アメリカがん協会の乳がん検診ガイドライン

日本での検診の状況とは、かなり違いがあることを認識しました

また、講演で紹介された

「90%以上の乳がん患者がハーブやサプリメントを摂っており、医師にはそのことを話していない」

これに対して日本では

がん患者さんの約40%の人がサプリメントなどを摂っている

サプリメントを摂っていることを医師に相談しなかった患者さんは58%

といった厚生労働省の調査結果があります

パーセンテージの違いはありますが

医師にサプリメントを摂っていることを説明しない理由として

統合医療に対する理解を得られないという点では

同じような状況になっているかと思います

最後にがんについて

「乳がんのリスクは、健康的な体重維持、日常的な運動、健康的な食生活などの生活スタイルを見直すことで38%まで減らすことができる。」というデータと

「がん細胞は遺伝子ではなく、環境によってコントロールを受ける」という視点

この点に関しては、日本ではまだまだ「生活スタイルの重要性」は認識されていないのではないでしょうか。

投稿者プロフィール

社長

元井章智

東栄新薬株式会社代表取締役社長

株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長

慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー