進行がんに対する統合医療的な緩和ケア

2016年1月28日

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執筆:元井章智

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)のメイン会場で

【進行がんに対する統合医療的な緩和ケア】

に関する講演がありましたのでその内容をご紹介します

進行がん患者に対する統合医療的な緩和ケアと癌(がん)治療

Jennifer Temel(ジェニファー テメル)医師

マサチューセッツ総合病院がんセンター

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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(講演の様子)

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がん治療における緩和ケア

がん患者に対する緩和ケアと終末期医療は

この10年間で臨床的、科学的に変化してきた

緩和ケアに対するハイレベルな研究成果が非常に多く出てきており

進行がん患者に対する治療は大きく変わってきている

なぜ、がん治療において緩和ケアと終末期医療が

非常に多くの注目を浴びているのか?

進行がん患者は身体的、精神的に様々な症状を抱えている

がん患者を介護する家族の3人に1人はうつ状態にあるという報告がある

より複雑になったがん治療

「個人にあった医療」をがん患者に施すことによって、がん治療はより複雑になり時間がかかるようになった

「標準的な化学療法」といったものではなく、治療はより複雑になってきた

遺伝子タイプに合わせた治療や免疫療法が注目を浴び、

複雑な臨床試験を行うために、莫大な時間がかかるようになった

がん治療においてコミュニケーションは重要で

患者の予後に対する理解が、患者の治療に対する決断(延命処置を望むかどうかなど)に大きく影響する

多くの患者が予後や病気に対して正しく認識していない

終末期医療においても集中的で積極的な治療が行う人が増えている

包括的にがん治療を行うために必要な要素

がんそのものに対するベストな治療をしながら

○患者の身体的、精神的なストレス管理に集中する

○家族も治療の受け手として含める

○患者と病気や予後、終末期医療に関して相談する

緩和ケアへの移行

病院や在宅での終末期医療において、緩和ケアは綿密に計画されていなければならない

しかしながら、がん治療を受けている歩行可能な患者に対して、緩和ケアへの移行のタイミングは非常に難しい

進行がん患者に対して、がん治療と併せて早期に緩和ケアを行うことは、患者にとって有効かどうかをみた臨床試がいくつか行われている

がん治療に早期緩和ケアを導入した臨床試験結果

○進行がん患者の予後に関しては、患者個々によって異なる

理由として

1、予後に対してどのような治療を行うかが、患者ごとに異なる

2、免疫療法に対する反応の違い

このような変化によって、進行がんと診断された患者の生存率や、生存しているタイプを検討するなどの緩和ケアに対する試験は非常に難しくなってきている

アメリカ臨床腫瘍協会(ASCO)は以下のように発表している

「転移もしくは症状が強く出ているがん患者に対して

通常のがん治療に早期から緩和ケアを導入されるべきである」

まだ解明されていない点

○早期緩和ケアはどのようなタイミングで導入すればいいのか?

○歩行可能な患者に対してどのような頻度で行うのが適しているのか?

○患者の個性や属性が、緩和ケアの導入のタイミングや頻度に

どのような影響を与えるのか?

がん治療はどうあるべきか?

今後は初歩的な緩和ケアに医療従事者は注目するべきである

初歩的な緩和ケア

初歩的な緩和ケアは重要なコンセプトとトレーニングプログラムで

次世代のがん治療の担い手にとって必要なスキルである

初歩的な緩和ケアが専門的な緩和ケアと同じような役割を演じられるかは

まだ十分なデータがなく解らない

まとめ

○予後の悪い進行がんの患者に対する早期の緩和ケアのメリットに関して注目すべきデータがある

○今後の試験結果は、患者個々の予後に対する考え方や健康サービスの利用状況が考慮されなければならない

○我々はがん治療において、早期(初歩的な)緩和ケアをどのように普及させるかに注目しなければならない

講演を聞いて

いままで「緩和ケア」というと、

終末期の痛みの軽減=モルヒネといったイメージでしたが

海外では、より早期から

通常のがん治療に緩和ケアを併せて行われていることを初めて知りました。

その他、

患者個々によって予後に対する考え方、治療の選択肢が異なることや

「免疫療法に対する反応性の違いが予後に大きな影響を与える」

と考えられていることも、新しい発見となりました。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください。

投稿者プロフィール

社長

元井章智

東栄新薬株式会社代表取締役社長

株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長

慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー