がん治療における自然療法薬の利用実態

2016年2月18日

ed6d63055f5d9304b84c44e0a40cc23f_m

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議で

【がん治療における自然療法薬の利用実態と副作用】

に関する講演がありましたのでその内容をご紹介します。

がん治療における自然療法薬の利用実態と副作用

Sunita Vohra(スニータ ヴォーラ)教授

アルベータ大学(カナダ)

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

IMG_5841

(講演の様子)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

講演内容の概要

○補完代替療法ががん患者にどの程度利用されているのか?

○なぜ医師は自然療法薬の使用を心配するのか?

○自然療法薬の副作用調査

○統合医療に関して

○患者主体の治療

*自然療法薬=自然由来のハーブやサプリメント

ガーリック、朝鮮人参、エキナセア、薬用キノコなど

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【自然療法薬とがん治療】

がん患者において自然療法薬(朝鮮人参やエキナセア)は、免疫力を上げるために頻繁に利用されている。

しかし自然療法薬は、抗がん剤の作用を阻害する可能性があり、骨肉腫やその他の癌に使用されるべきではないといった意見もある。

その他の一般的な自然療法薬(セントジョーンズワート、ブラックコホーシュ、イチョウ葉)は抗がん剤との相互作用があり、副作用を増強し、治療を中止せざる得ない可能性がある。

【自然療法薬に関する懸念事項】

医師と患者間の補完代替療法に関する情報交換不足

副作用の可能性:

32のサプリメントが潜在的に薬との相互作用があると報告されている

ニンニク、ヤドリギ、中国の薬用茶、セントジョーンズワート、ショウガ、朝鮮人参など

自然療法薬の薬理作用に関しては、まだ解らないことがある。

一つの成分ではなく、複数成分によって効果を示すことがある。

研究室での実験は行われていても、実際に飲んだ場合にどのような作用を示すのかが解らない。

【自然療法薬の副作用について】

過去の統計により、12%が副作用を経験しているが、59%は副作用を誰にも言わなかった。

薬剤師はどの程度副作用に気づいているのか、

321人に薬剤師に調査を行い、132人から返答があった。

その結果、47%の薬剤師は自然療法薬の副作用を疑ったことがあるが

2件しかカナダの保健当局に報告しなかった。

【自然療法薬の利用実態】

自然療法薬の入手先である一般の薬剤師を対象に

一般患者、精神病患者、がん患者ごとに大規模な調査を行った。

【一般患者を対象とした自然療法薬の利用実態】

3,737人の患者のうち

45.4%が処方箋によって投薬される一般治療薬と一緒に自然療法薬を利用していた。

そのうち7.4%が副作用を経験していた。

【具体的な副作用症例】

メラトニンによるもの、メラトニンとシタロプラム(抗うつ薬)の相互作用

6種類の処方箋薬と7種類の素材が入った自然療法薬による肝障害

【精神疾患を対象とした自然療法薬の利用実態】

1971人を対象に調査

処方箋薬のみ利用 39.1% 副作用経験者 10.6%

自然療法薬のみ  6.7% 副作用経験者 6.1%

処方箋薬と自然療法薬の併用 28% 副作用経験者 25.5%

処方箋薬と自然療法薬を併用することで副作用発現が上昇していた。

【がん患者を対象とした自然療法薬の利用実態】

今後行っていくが、以下のようなことが考えられる。

がん患者は以下のことから自然療法薬の副作用が出やすいと考えられる。

○何種類かの治療を同時に行っている可能性

○統合医療を活用し、何種類かの自然療法薬利用している可能性

一般患者と精神病患者を対象とした調査と同様な結果が出ると思われる。

過去に行った同様の調査では、

55%のがん患者が自然療法薬を利用し、11%が副作用を経験していた。

以下のような自然療法薬の相互作用が想定される。

カルシウム、ガーリック、イチョウ葉、朝鮮人参、緑茶、ミルクシスル、セレン、ターメリック(クルクミン)、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、プロバイオティクス(乳酸菌など)

【将来の医療体制について】

WHO(世界保健機構)は以下を予見している

○補完代替療法や伝統医学の普及

○ヘルスシステムと統合

○研究の進展

【統合医療に関して】

他分野にまたがる教育と研究、ヘルスシステムとの連携によって

新しい知見が患者の治療戦略を変える可能性がある。

次世代の医療関係者、研究者を支えるきっかけとなる。

機能性疾患を持つ患者のうち、患者自身の健康や、

治療方針についてより積極的な姿勢を持つ人が、

よりよい長期的な成果を得ることができるようになると思われる。

【講演を聞いて】

日本でも2001年に統合医療の利用実態について、

厚生労働省が調査を行い

統合医療の利用者が44.6%

で、そのほとんどがサプリメントを利用していた

といった結果が出ています。

世界的に統合医療が普及してきていますが、

今回の講演でも触れられていましたが、

研究室では研究されていても、

実際にヒトが飲んだ場合(臨床試験)の試験結果が少ない

という点が問題視されています。

自然療法として利用されるキノコ=アガリクスのメーカーとして

より固い安全性を確保するためにも

今度も基礎研究はもちろん、臨床研究も継続していこうと感じました。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください