アメリカの統合医療の実態

2015年11月30日

IMG_5480

執筆:元井章智

アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)に参加してきました。

(写真は会場となったハーバード メディカルスクール)

学会で【アメリカの統合医療の実態】

に関する講演がありましたので、その内容をご紹介します。

【アメリカの統合医療の実態】

Gary Deng(ゲーリー デン)博士

Memorial Sloan Kettering Cancer Center(メモリアル スローンケタリングがんセンター)

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アメリカにおいて

CAMは30代~50代の利用頻度が最も高く

ピークとなる50代では44.1%の人が

何らかのCAMを利用している。

CAM・統合医療とは?

002

がん治療に関しては、

がんそのものにのみ注目するのではなく

体、気持ち、精神、家族、社会、環境といったことにも

注目する必要がある。

がん患者さんの生活環境を整えるためには以下のことが重要となる。

普段の心がけ、栄養、運動、ストレス管理、適度な睡眠、

24時間の生活リズム、肉体的な環境、楽しみや笑い、

親密な人間関係、存在意義や理念

統合医療は、がん患者さんの生活環境を整えるといった点に注目していて

現在、多くの全米の主要な治療施設で取り入れられている。

以下に具体的な治療内容を紹介する。

具体的な統合医療の治療内容

医師によるコンサルテーション

onc-consult-web-size

○患者さんの心理的、社会的、文化的環境から

患者さんの健康状態を把握して包括的な健康管理プランを提案

○ハーブやサプリメントの提案

○患者さんが積極的に自己管理や回復に努めるよう励ます

栄養指導

3photo07

○健康維持や病気予防のための健康的な食生活

○治療中の体重管理

○がん悪液質の場合の体重増加

○肥満のがんサバイバーの減量

精神・身体療法(Mind-Body Therapy)

5c0bfc47e3784be001ac56b84676c28c_m

瞑想、催眠、心理療法、呼吸法、気功、ヨガ

対象:不安、ストレス・苦悩、睡眠、うつ、痛み、全般的なQOL(生活の質)の低下

3photo09

対象:痛み、吐き気・嘔吐(抗がん剤の副作用)、口の乾燥、ホットフラッシュ

不安、不眠症、リンパ性の浮腫、疲労感、神経障害

マッサージ

3photo10

スウェーデン マッサージ、足裏マッサージ(リフレクソロジー)、

リンパドレナージ、筋膜リリース(Myofascial release)、

指圧、按摩(あんま)、霊気、アーユルヴェーダ マッサージ

音楽療法

music-therapy-web-size

参加型か受入れ型

癒しと楽しみを与える、恐怖を取り去る、リラックス

自己表現力を高める、孤独や孤立感を減らす

運動、身体活動

3photo08

毎日30分間の適度なエアロビック エクササイズ

開胸手術や乳房切除術後のリハビリテーション

急速に普及している統合医療

1980年から現在に至るまで

発表された(Pubmedに掲載された)論文の数は

急激に増えている

瞑想 40→400

鍼  200→1,600

ハーブ ほぼ0→4,000強

ヨガ 10→400

注目を集め研究が進められていることから

それだけ多くの治療に取り入れられていることがうかがえる。

実際のPubmedに発表されている内容としては

鍼の痛みに対する効果、進行がんに対するマッサージの効果、

ヨガの不安、うつ、苦悩、ストレス、疲れ、QOL(生活の質)の改善効果

ヨガと瞑想の乳がんサバイバーの更年期障害の緩和作用

などが発表されている。

実際の取り組み

演者の所属する

メモリアル スローンケタリングがんセンターでは

以下のようなCAMを対象とした教育を行っている

○医師に対するトレーニングプログラム

○医師、看護師、鍼師、マッサージ師、ヨガ教師のためのオンライン講座

○看護師の認定制度

○高校、大学、医学生の研究の機会を提供

また、ホームページ上で

ハーブや、薬草などの製品に対する情報も提供している。

統合医療の効果

統合医療はがん治療の現場において

以下のような効果が期待される

患者さんにとっては

症状の緩和、自己管理の向上、QOL(生活の質)の改善、

健康的な身体、身持ち、精神をはぐくむ

患者が家族や友人に対して健康情報を発信するようになる。

治療の専門家にとっては

患者さんを癒すことによって、より積極的な治療を行うようになる

患者さんとの関係性の強化

患者さんの全般的なケアができるようになる。

統合医療の今後

2,000年には統合医療に関する質問は

利用方法や効果に対する以下のようなものだった

どれくらいの人が、どんな人が使っているのか?

それらは効くのか?

どれが効くのか?

それが2,015年には

メカニズム、個々にあった治療法、治療に対する影響といった

以下のようなものに変わってきた

どのようにして効いているのか?

誰にとって効くのか?

より効果を出すにはどうすればいいのか?

どうすればがん治療に組み合わせることができるのか?

統合医療はがん治療に対して

今後もより大きな影響を与えることが期待される。

講演を聞いて

アメリカでは

効くと考えられるものは西洋でも東洋でも

積極的に取り入れ

患者さんの総合的なケアに活かされています

講演の中で

実際に統合医療が取り入れられている病院のリストを見ました。

メモリアル スローンケタリングがんセンターをはじめ、

MDアンダーソン病院、コロンビア大学、エール大学、メイヨークリニック、ハーバードメディカルスクール、スタンフォード大学、、、

本当に名だたる医療機関で統合医療が取り入れられています。

日本では混合診療の問題もあり

本当にごく一部のクリニックでしか

統合医療は取り入れられていません。

患者さんのことを中心に考えているのは

どちらの医療体制なのでしょうか。

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください。

投稿者プロフィール

社長

元井章智

東栄新薬株式会社代表取締役社長

株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長

慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー