リンパ性浮腫とマッサージ

2016年1月21日

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アメリカのがん統合医療に関する協会

統合腫瘍協会国際会議(SIO)で

【マッサージ(手技療法)とリンパ浮腫】

に関する講演がありましたので、その内容をご紹介します

マッサージ(手技療法)とリンパ浮腫

Lisa Hodge(リサ ホッジ)博士

テキサス大学ヘルスサイエンンスセンター

2015年11月14~16日

第13回統合腫瘍学会国際会議(SIO)(ボストン)

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(講演の様子)

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2次的なリンパ浮腫について

2次的なリンパ浮腫は、がんの手術後にリンパ廓清を行ったり、放射線療法を行った時にしばしば起こる

著しくQOL(生活の質)が低下する

リンパ浮腫の治療方法

治療方法としては、保存療法を行う

リンパドレナージ、運動、理学療法、空気で圧迫する器具、圧迫する衣服

(これらの効果に関するエビデンス(データ)は、未だはっきりとはしていない)

リンパ系の循環を促すために以下を行う

運動(有酸素運動、ウエイトトレーニング)

マッサージ・リンパドレナージ

空気で圧迫する器具

リンパ系の循環を促すための整体手技

筋膜リリース、牽引、横隔膜リリース

(リンパの停滞を取り除く)

リンパの流れを促すためのリンパ ポンプ手技

(Lymphatic pump techniques =LPT)

(胸部、腹部、脾臓、肝臓、足)

リンパ ポンプ治療(LPT)の動物実験結果

○受動運動、回転運動、マッサージ、四肢(腕と脚)の圧迫はリンパの流れを増加させた(犬、ウサギ、ヤギ)

○LPTは間質液からの抗原の取り入れを増加させた

○運動、胸部LPT、腹部LPTはリンパの流れを増加させた

○LPTは白血球とリンパの炎症メディエーターを増加させた

○LPTは肺炎を引き起こす細菌の増殖を抑制した(ラット)

○運動強度によるリンパの流れの変化

実験動物(犬)を時速0~16㎞のスピードで走らせた結果

時速2.4㎞でリンパの流れが増加し(安静時よりも121%増加)

さらにスピードを上げることで、よりリンパの流れが増加した

(安静時よりも419%増加)

○LPTは胸部リンパ管の白血球の流動性を増加させた

がん患者における手技療法

がん患者における手技療法の位置づけは

まだはっきりとしておらず、以下のような見解がある

○LPTのような、ある種の理学療法・薬物治療はがん患者には禁忌(行われるべきではない)これらの治療はがんの転移を促進してしまうかもしれない

○最近のコホート研究によると、リンパドレナージはリンパ浮腫に関連した進行乳がん患者の再発リスクを高めないとされる

マッサージとがんの関連性

がんの罹患部位のマッサージは骨肉腫の転移を促進した(マウス)

がんの罹患部位のマッサージはメラノーマの転移を促進した(マウス)

がんの反対側をマッサージした時には転移は促進されなかった

まとめ

手技療法(マッサージ)はリンパ、免疫細胞、炎症メディエーターに影響を与える

組織の停滞を取り除くことによってリンパの流れを増加させ、マッサージはリンパ浮腫を抑え、免疫系を刺激するかもしれない

がんの罹患部位を直接マッサージするとがんの転移を促進するかもしれない

リンパの流れを改善することと、がんの成長と転移との関連ははっきりしていない

講演を聞いて

リンパ性浮腫に関するマッサージの効果はまだ、はっきりとしたことが分かっていない

といった講演内容でしたが、

統合医療を積極的に取り入れている施設では

がん患者さんに対するマッサージ(オンコロジー マッサージ)は、積極的に行われているようです

(注:がんの罹患部位はマッサージしません)

前回のこの学会に参加した際に訪問した

MDアンダーソン病院の統合医療外来でも取り入れられていました

株式会社ケーエーナチュラルフーズ

元井章智

注)海外での学会発表内容のご紹介です

個別の症状の予防、改善を保証するものではなく

あくまで参考程度にとどめて頂き

疾病の診断治療は専門医の指導のもと行ってください